勤務医をしながら法人を経営している私が、法人設立までの過程を実録で振り返るシリーズ。第3話です。
第2話では、株式会社と合同会社を比較し、合同会社を選ぶまでの思考過程をお話ししました。

法人の形が決まったら、あとは申請するだけ――と思っていた私を待っていたのは、設立前に決めなければならない項目の多さでした。
ぶらっく事業目的?資本金?決算月?…何を基準に決めればいいの?
しかも、この中には後から変えると登記変更の費用がかかるものもあります。
今回は、私が設立前に決めた5つの項目と、後から気づいた反省点をお話しします。これから設立する方は、私の失敗を踏まないでください。
① 事業目的:「今やること」だけで書かない
定款には「事業目的」を記載します。会社が何をやるのかを定める項目です。
ここでの鉄則は、将来やる可能性が少しでもある事業は全部書いておくこと。
目的の追加は定款変更+登記変更となり、登録免許税3万円がかかります。書いておくだけならタダです。
- 産業医業務・健康管理に関するコンサルティング
- ウェブサイトの運営・広告業
- 講演・執筆・コンテンツ制作
- 物品の販売・輸出入
- 不動産の賃貸・管理
このように、将来の選択肢を幅広く含めておくと、事業の幅が広がったときにスムーズです。
② 資本金:1円で作れるが、1円で作らない
合同会社は資本金1円から設立できます。でも、実際に1円で作るのはおすすめしません。
- 法人口座の開設審査で不利になりやすい
- 設立直後の経費(設立費用・会計ソフト・備品)ですぐに債務超過になる
- 取引先から見られる数字でもある
一方で、資本金1,000万円以上にすると設立初年度から消費税の課税事業者になってしまいます。
副業規模のマイクロ法人なら、数十万~数百万円の範囲で、当面の運転資金を目安にするのが現実的です。
③ 決算月:3月に合わせる必要はない
「決算は3月」というイメージがありますが、決算月は自由に決められます。
私が意識したポイントは2つです。
- 設立日から最も遠い月にする:初年度を最長にでき、免税期間や準備期間を有効に使える
- 本業の繁忙期と重ねない:決算作業は思ったより時間を取られる



勤務医の繁忙期と決算が重なったら地獄…ここは真剣に考えた
結果として、この2点を意識して決めた決算月には今も満足しています。
④ 役員構成:家族を入れるかは「実態」で決める
合同会社はひとりでも作れますし、家族を社員(役員)に加えることもできます。
家族へ役員報酬を支払えば所得分散になりますが、実際に働いている実態がなければ税務上のリスクになります。
「節税になるからとりあえず入れる」のではなく、経理やサイト運営など、担ってもらう役割を具体的に決められるかで判断するのが安全です。
なお、役員の追加は後からでも可能です。迷うならまずひとりで始めるのも選択肢です。
⑤ 社名:意外と時間を食う、でも一番楽しい
最後は社名です。これが意外と時間を食いました。
私がチェックしたのは次のポイントです。
- 同一住所に同名の法人がないか(国税庁法人番号公表サイトで検索)
- ドメインが取得できるか(将来のサイト運営を見踊えて)
- 電話で伝えやすいか、読みやすいか
- 事業内容を縛らない名前か(特定の事業名を入れると将来狭くなる)



社名を考えている時間が、設立準備で一番ワクワクしたかもしれない
社名には事業への想いを込めつつ、事業内容を限定しない抽象度を持たせるのがおすすめです。
まとめ
今回は、設立前に決めるべき5つの項目を、私の反省点とともにお話ししました。
- 事業目的:将来の可能性を全部書く(後からの追加は3万円)
- 資本金:1円は避ける。1,000万円未満で現実的な額に
- 決算月:設立日から遠く、繁忙期を避けて
- 役員構成:家族は「実態」で判断。後から追加も可
- 社名:同名・ドメインを確認し、事業を縛らない名前に
次回・第4話は、「設立直後にやることリスト実録」。登記完了から各種届出・口座開設・会計ソフト導入まで、期限付きの手続きラッシュを整理します。
実際の設立手続きの流れはこちらも参考にしてください。


それでは、また次回。


※本記事は私個人の経験と見解に基づくものです。定款の記載内容や税務の詳細は、必ず司法書士・税理士等の専門家にご確認ください。








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