勤務医をしながら法人を経営している私が、法人設立までの過程を実録で振り返るシリーズ。第5話です。
第4話では、登記完了後の手続きラッシュをチェックリストで整理しました。

今回はいよいよ、設立1年目のお金のリアルです。
売上はどうだったのか。経費は何に使ったのか。役員報酬はどう設計したのか。
きれいな部分も、反省点も、包み隠さずお話しします。
収入の柱は「産業医」と「サイト運営」
まずは収入の構造から。私の法人の売上は、大きく2本柱です。
- 産業医業務:顧問先企業との契約による安定収入(毎月定額)
- サイト運営・広告収入:このブログを含むメディアからの収益
産業医の報酬相場や業務内容は、こちらの記事で詳しく解説しています。

1年目の売上合計は、ざっくり360万円。内訳は産業医が約9.99割、サイト関連が約0.01割でした。
ぶらっく会社員時代の副業感覚とはケタが違う。法人にした実感が湧いた瞬間だった
経費で世界の見え方が変わった
法人化して最も変化を感じたのは、経費の感覚です。
事業に必要な支出を法人の経費として整理できるようになり、お金の流れがクリアになりました。
- 会計ソフト・サーバー代・ドメインなどの事業インフラ
- 取材や情報収集に伴う書籍・資料代
- 業務に使うPC・周辺機器
- 税理士への顧問料
1年目の経費総額は120万円ほど。「とりあえず経費にすれば得」ではなく、事業に必要かどうかで判断する。これに尽きます。
なお、後になって痛感しますが、領収書の整理と記録は毎月やるべきでした。溜めると地獄です。
役員報酬の設計:私はゼロ、配偶者に年100万円
このシリーズで一番質問されそうなのが役員報酬です。
私の設計は、自分の役員報酬はゼロ、配偶者に役員として年100万円です。
なぜ自分はゼロなのか
- 勤務医の給与ですでに高い税率帯にいるため、自分に報酬を出すと高い税率で課税される
- 報酬を出さなければ利益は法人に残り、法人税率(利益800万円以下でざっくり25%程度)で済む
- 法人に残したお金は次の事業投資に回せる
なぜ配偶者に100万円なのか
- 経理や事務を実際に担ってもらっている(実態がある)
- 年100万円なら配偶者自身の所得税負担を押さえながら所得分散できる
- 家族全体で見た手取りが最大化される
この設計の詳細は、合同会社の解説記事でも触れています。





「稼いだのに自分の給料はゼロ」。でもこれが二刀流の最適解だった
なお、役員報酬は事業年度の途中で自由に変えられない(定期同額給与)などのルールがあります。設計は必ず税理士と相談してください。
見落としがちな固定コスト
一方で、法人には売上がゼロでもかかるコストがあります。
- 法人住民税の均等割:赤字でも年約7万円
- 税理士顧問料・決算料:年30万円
- 会計ソフトやサーバーなどのサブスク費用
これらを引いてもなおプラスになる見込みがあって初めて、法人化はペイします。目安として、私は副業利益300万円以上を一つのラインだと考えています。この話はシリーズ第1話ともつながります。


1年目の反省点
最後に、やらかしたことも正直に。
- 領収書整理を溜めて月末にまとめ作業地獄
- 事業計画を紙にしていなかった(行き当たりばったりの投資判断があった)
- 税理士との定例相談を活かしきれなかった(質問を溜める癖)



完璧な1年目なんてない。でも、法人にしたこと自体は1ミリも後悔してない
まとめ
- 収入の柱は産業医業務とサイト運営の2本
- 経費は「事業に必要か」で判断。記録は毎月必須
- 役員報酬は自分ゼロ・配偶者年100万円の分散設計
- 均等割約7万円など固定コストを引いてもプラスになるかが分岐点
- 目安は副業利益300万円以上
次回はいよいよ最終話。「勤務医が法人を持つと世界がどう変わるか」。お金の話を超えて、働き方と人生の選択肢がどう変わったかをお話しします。
それでは、また次回。


※本記事は私個人の経験と見解に基づくものです。役員報酬の設計や税務の詳細は、必ず税理士等の専門家にご確認ください。








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