勤務医をしながら法人を経営している私が、法人設立までの過程を実録で振り返るシリーズ。第2話です。
第1話では、副業の税金が四桁万円を超えて「このままではヤバい」と気づき、法人化を考え始めるまでをお話ししました。

法人化を決意した次にぶつかった壁。それが、「どの種類の法人を作るのか」という問題でした。
株式会社?合同会社?聞いたことはあっても、違いを正確に説明できる医師は少ないのではないでしょうか。
ぶらっく会社といえば株式会社でしょ?合同会社って何…?
当時の私も、正直この程度の認識でした。
今回は、私が合同会社を選ぶまでの比較と思考過程をお話しします。
法人には種類がある
個人が事業のために作る法人には、主に次の選択肢があります。
- 株式会社:最も一般的。株式を発行して資金調達ができる
- 合同会社(LLC):2006年の会社法で生まれた比較的新しい形態
- その他(一般社団法人・医療法人など):目的が特殊なためここでは除外
勤務医の副業の受け皿としては、実質的に株式会社か合同会社かの二択になります。
合同会社そのものの仕組みについては、過去に詳しく解説しています。


私が比較した4つのポイント
当時の私は、次の4つの軸で両者を比較しました。
① 設立費用
まず最初に目についたのは、設立にかかる費用の差です。
- 株式会社:登録免許税15万円〜+定款認証費用など。合計でおよそ20万円以上
- 合同会社:登録免許税6万円〜。定款認証が不要で、合計およそ6〜10万円
同じ「法人を作る」でも、初期費用に3倍近い差があります。



副業の受け皿なのに、設立だけで20万円は重い…
② ランニングコスト
株式会社には「決算公告の義務」があり、役員には任期があるため、重任登記のたびに登録免許税がかかります。
合同会社には決算公告義務も役員任期もなく、維持コストと事務負担が軽いのが特徴です。
法人住民税の均等割(赤字でも年約7万円)は、どちらの形態でも同じようにかかります。
③ 信用力・見た目
一般に「対外的な信用力は株式会社のほうが高い」と言われます。
大きな取引や採用、資金調達を考えるなら株式会社が有利な場面もあるでしょう。
ただ、私の場合の取引先は主に産業医契約の企業や広告収入の支払い元。「合同会社だから」と不利になる場面はほぼ想定されませんでした。
④ 意思決定の自由度
株式会社は「所有と経営の分離」が前提の設計で、株主総会などの手続きが必要です。
合同会社は出資者=経営者。ひとり法人なら意思決定は自分だけで完結します。
勤務医との二刀流で時間が限られる私にとって、この身軽さは大きな魅力でした。
医師のマイクロ法人に合同会社が向いていると判断した理由
比較の結果、私の結論はこうなりました。
- 設立も維持も安い:浮いたお金は事業に回せる
- 事務負担が軽い:本業(勤務医)に支障を出さない
- ひとりで完結:家族を役員にする場合も柔軟
- 信用力の差が影響しない:上場も融資も採用も当面は不要
つまり、「小さく作って、身軽に回す」マイクロ法人の思想に、合同会社はぴったりだったのです。



迷っていたのが嘘みたいに、条件を書き出したら答えは明快だった
実際に設立してから今日まで、「株式会社にしておけばよかった」と感じた場面は一度もありません。
株式会社を選ぶべきケース
一方で、すべての医師に合同会社が最適というわけではありません。
次のようなケースでは、株式会社を検討する価値があります。
- 将来的に外部から出資を受けたい(株式による資金調達)
- 従業員を多く雇い、組織として拡大したい
- 取引先や業界の慣習として株式会社が求められる
- 「代表取締役」の肩書きがブランディング上必要
なお、合同会社から株式会社への組織変更は後からでも可能です。まず合同会社で小さく始め、必要になったら変える、という順番も取れます。
まとめ
今回は、私が合同会社を選ぶまでの比較と判断をお話ししました。
- 勤務医の副業法人は実質「株式会社 or 合同会社」の二択
- 比較軸は「設立費用」「維持コスト」「信用力」「自由度」の4つ
- マイクロ法人なら合同会社の身軽さが圧倒的に有利
- 拡大志向なら株式会社。後からの組織変更も可能
次回・第3話は、「設立前に決めるべきだった5つのこと」。事業目的・資本金・決算月・役員構成・社名について、後から気づいた反省点も含めてお話しします。
実際の設立手続きの流れは、こちらの記事で詳しく解説しています。


それでは、また次回。


※本記事は私個人の経験と見解に基づくものです。法人形態の選択や税務の詳細は、必ず税理士等の専門家にご確認ください。









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