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【精神科医が解説】統合失調症とは?

今回は、統合失調症について症例を交えながら解説していきたいと思います。

 

 
ぽりぽり
統合失調症は、約100 人に1 人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。
 
100人に1人が統合失調症を患うと報告されています。
 
 
ぽりぽり
出会ったことがないと思っている人も多いかもしれませんが、結構多い病気なのです。
 
軽症から重症までさまざまなので、うまく治療が行われている軽症例では全く普通の人と変わらないので気づかないこともあります
 
今回は症例を提示して説明していきたいと思います。
*実際の症例を特定できないようにアレンジしています。
 

症例提示

症例:20歳台 男性
幼少期、発達成長に大きな問題を認めなかった。ただ、幼少期に母と離別し父と祖父に育てられる。
②中学校では勉強はやや苦手。高校は工業高校に入学し卒業後、製造業に勤務も数か月で退職。
その後、製造業(工場)に就職し勤務を続けるも、同僚とトラブルが少なくはなかった。
③また、車を運転中に割り込みされたことに激怒し、車を降りて相手に暴力をふるったことがあり警察沙汰になったこともあった。
④FPSという対人戦争ゲームにのめりこむようになり、いつしか現実とゲームの世界が融合しているような感覚になっていった
常に誰かに狙われている妄想にとらわれ、「やくざの組長に狙われている」「テレビを見ていると組長が僕に話しかけてきて命を奪うと言っている」などとゲームの声が自分に対する声と幻聴を訴えるようになった
窓に人影が見えると「公安に拉致される」と言ったり、車が近づいてくると「公安が僕を狙っている」と言って逃げ出すような行動が見られた
ある夜、「窓から公安が僕を監視している」と言って錯乱し家を飛び出し、カードや身に着けているものから個人情報が抜き取られるといって服を脱ぎ捨て、免許書やクレジットカードを地中に埋めて、街中を走りだしたところを警察に補導された。
事情聴取中も妄想にとらわれた発言を繰り返したため、〇〇病院を受診となった。
 
 
ぽりぽり
ごくごくありふれた統合失調症のケースです。
 
この症例を参考にしながら、統合失調症を解説していきます。
 

統合失調症の発症年齢について

発病しやすいのは思春期から30歳までで、統合失調症の人の70〜80%を占めます。
 
 
ぽりぽり
この症例も発症は20歳台です。
 
有病率の男女差はありませんが、男性は10~25歳、女性は25~35歳と40歳過ぎが好発年齢です。
 

統合失調症の原因

統合失調症の原因には色々な仮説がありますが、いまだに不明な点が多いです。
素因や遺伝、心理社会的因子の相互作用によって発病すると考えられています。
 
一卵性双生児(遺伝情報が全く同じ)の片方が統合失調症を発症した場合、他方が発症する割合は約50%であるといわれています。
 
もし統合失調症の発症が遺伝だけで決まるのであれば、一卵性双生児の片方が発症すれば他方も100%発症するはずです。
したがって、統合失調症の発症に遺伝が影響していることは確かですが、環境やストレスなど、後天的な要素も影響していることがわかります。
 
 
ぽりぽり
この症例は、祖父が養育する義務を負っていたものの、ほぼ育児放棄で祖父が育てていました。
 
提示した症例は、父も統合失調症であった可能性も十分考えられ、遺伝的な要因と複雑な家庭環境が統合失調症を発症させた可能性があります。
 

統合失調症の発症頻度

日本での統合失調症の患者数は約80万人といわれています。
また、世界各国の報告をまとめると、生涯のうちに統合失調症を発症する人は全体の人口の0.7%と推計されます。
 
 
ぽりぽり
100人に1人弱と決して少なくはないですね。
 
それだけ、統合失調症は身近な病気といえます。
 

統合失調症の知能

統合失調症を発症する前に明らかな知能低下は認めません。
 
 
ぽりぽり
患者さんの中には有名大学卒業していたり難しい資格を有していたりする人もいます。
 
ですが、通常、統合失調症においては発症から知能低下を認めるといわれています(Am J Psychiatry 176:10, October 2019)。
 
また、2022年6月16日  JAMA Psychiatryでは、
統合失調症患者では、発症14年前から知能指数(IQ)0.35ポイント/年(P<0.001)の割合で認知機能が低下し始め、他の精神病性障害患者(年IQ 0.15ポイント低下、P<0.001)よりも低下速度が有意に速かった。
発症22年後、統合失調症患者と他の精神病性障害患者ともに、IQが0.59ポイント/年(P<0.001)の割合で低下していた。
とあり、詳しく調べてみると発症前から知能低下があるかもしれないとも言われています。
 
いずれにせよ、知能低下を防ぐためにも、早期発見早期治療が望まれます。
 

統合失調症の症状

統合失調症の症状でよく知られているのが、「幻覚」「妄想」です。
幻覚とは実際にはないものをあるように感じる知覚の異常で、中でも自分の悪口やうわさなどが聞こえてくる幻聴は、しばしば見られる症状です。
 
 
ぽりぽり
提示した症例でも、「組長から命を奪うと言われる」と幻聴を訴えています。
妄想とは明らかに誤った内容を信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことで、いやがらせをされているといった被害妄想、テレビやネットが自分に関する情報を流していると思い込んだりする関係妄想などがあります。
 
この「被害妄想」や「関係妄想」は特徴的で、恐怖や不安を感じるような内容が目立ちます。
 
 
ぽりぽり
提示した症例でも「公安に狙われている」「データが抜き取られる」などと被害妄想を訴えています。
また本人はその考えが妄想であることを認識できないことが多いため、周囲の方も対応に苦労することが多いです。
 
 
ぽりぽり
本人は、妄想ではなく現実であると信じ切っているために、正論を言って頭ごなしに否定しても全く効果がないどころか、逆に怒りを買ってしまいます。
妄想への対応としては妄想に対して否定も肯定もせず、不安な気持ちに共感を示し安心感を与えることが重要になります
こうした幻覚や妄想は、本人にはまるで現実であるように感じられるので、病気が原因にあるとはなかなか気づくことができません。

理不尽な暴力事件

提示した症例で、「車を運転中に割り込みされたことに激怒し、車を降りて相手に暴力をふるったことがあり警察沙汰になったこともあった。」とあります。
 
 
ぽりぽり
一般的に、車で割り込みされたとしても「ムカッ」とは来ることはあるとは思いますが、車を降りて相手に暴力をふるう行為は異常です。
 
理不尽な暴力事件や異常なあおり運転の加害者の一部には、統合失調症の関与があるのではないかと思っています。
もちろん、「違法ドラッグ」「パーソナリティ障害」や「妄想性障害」など様々な原因もあると思いますが。
 
提示した症例も、
「割り込んできて相手が悪く、僕を狙っているとおもった。身の安全のために暴力行為をしてしまった。」
と被害妄想から、暴力をふるってしまう行為に至りました。
 
未治療の統合失調症患者さんは、妄想を固く信じてしまっています
警察であろうが、医師であろうが何を言っても最初は信じてくれないので、早期に治療が必要です
 
治療の結果、薬の効果が出てくると、妄想であったことや幻聴であったことが理解してくれるようになります。
ただ、なかなか妄想や幻聴から抜け出せない症例もあります。
 

周囲の人が気付いてほしい統合失調症のサイン

統合失調症に多い幻覚や妄想の症状は、本人には現実味があってそれが病的な症状だとは気づきにくいものです。
 
周りの人が気づくことが、早期発見の第一歩となります。
 
家族や周囲の方に以下のようなサインがあることに気づいた時には、病院や保健所、警察など相談窓口などに相談してみて下さい
 

幻覚や妄想のサイン

✅ いつも不安そうで、緊張している

✅ 悪口をいわれた、いじめを受けたと訴えるが、現実には何も起きていない

✅ 監視や盗聴を受けていると言うので調べたが、何も見つけられない

✅ ぶつぶつと独り言を言っている

✅ にやにや笑うことが多い

✅ 命令する声が聞こえると言う

 
独り言(独語)や一人笑い(空笑)も頻繁にみられる症状です。
本人に指摘すると、「いやいや、そんなことしてないよ」と言ってごまかされてしまいます。
 
被害妄想で、警察などに通報したりするケースも見られます。
本人は、被害を受けていると錯乱していますので、否定しても全く同意を得られません。
逆に否定すると、加害者側ではないのかと疑われる危険さえあります。
 

そのほかのサイン

認知機能の障害:

  • 日常生活における理解力が低下したり、記憶力が低下して、社会生活における問題解決能力が低下します。

 

会話や行動の障害:

  • 話にまとまりがなく、何が言いたいのかわからない、相手の話の内容がつかめない
  • 作業のミスが多い

 

意欲の障害:

  • 打ち込んできた趣味、楽しみにしていたことに興味を示さなくなった
  • 人づきあいを避けて、引きこもるようになった
  • 何もせずにゴロゴロしている
  • 身なりにまったくかまわなくなり、入浴もしない

 

感情の障害:

  • 感情の動きが少なくなる
  • 他人の感情や表情についての理解が苦手になる
 
上記のような症状は「陰性症状」と呼ばれます。
うつの症状とも似ています。
 

統合失調症の治療

統合失調症の治療は、薬をつかった治療(薬物療法)と、専門家と話をしたりリハビリテーションを行う治療(心理社会療法)を組み合わせて行います。
 
 
ぽりぽり
現実的は、まずは「薬」となります。薬を投与して妄想から引き離さないと、いくらお話しても理解が得られないからです。
 

抗精神病薬

統合失調症の治療の中心となる薬を「抗精神病薬」といい、症状の改善や再発の予防に大きな力を発揮します。

抗精神病薬は、主として脳内で過剰に活動しているドーパミン神経の活動を抑えることで症状を改善すると考えられています。

 

 
ぽりぽり
過剰なドーパミンによって極度に興奮している脳を落ち着かせるイメージです。
 

 

抗精神病薬は、定型抗精神病薬(従来型)と非定型抗精神病薬(新規)とに分けられます。

 

定型抗精神病薬は陽性症状に効果があり、非定型抗精神病薬は陽性症状に加えて陰性症状や認知機能障害に対する効果も期待できます

 

 
ぽりぽり
ここではお薬の詳細は説明しませんが、最近では「非定型精神病薬」が主流となっています。
 
提示した症例も入院直後は暴れて窓を割ろうとしたり、脱走しようとしたり大変でしたが、非定型抗精神病薬の効果で状態は徐々に落ち着きました。
 
 
ぽりぽり
薬の効果が出現するようになって初めて、妄想であったことや幻聴であったことを徐々に理解できるようになります。
 

精神科リハビリテーション

精神科リハビリテーションは、病気の症状で生じる「生活のしづらさ」を改善し、スムーズに安定した生活を送れるようにすることを目的に行います。
 
具体的には、デイケア、作業療法、SST(生活技能訓練)、心理教育などのプログラムがあり、医療機関や地域の精神保健福祉センター、自立訓練事業所などで実施されています。
 
提示した症例も退院時に生活環境を整え、保健所などと連携を取りながら社会復帰できるまで改善しました。
 
 
ぽりぽり
単に薬だけでは解決できない難しさが精神科にはありますね。
 

統合失調症を題材にした映画

統合失調症を題材にした映画は結構あります。
少し紹介したいと思います。
 

シャッターアイランド

レオナルド・デカプリオの名作の一つです。

 

 

統合失調症の症状をよく描いていると思います。

 

レオナルドは演技が上手すぎます。

 

ビューティフル・マインド

ラッセル・クロウの名作ですね。
 

 
統合失調症を患いながらもゲーム理論によりノーベル経済学賞を受賞した米国人数学者ジョン・ナッシュの生涯を描いたシルビア・ナーサーの小説が原作です。
 
私は映画館で見ました。
その当時は、まだ医学生になったばっかりで統合失調症ってなにかよくわかっていない時でした。
 
 
ぽりぽり
いま観たらより理解が深まります。
 

まとめ

統合失調症について、具体的な症例を提示しながらご説明しました。
 
 
ぽりぽり
100人に1人と少なくはない病気です。早期発見、早期治療が大事ですので、ご家族や友人に疑うような人がいれば何とか早期受診までつなげていただきたいです。
 
ポイントは、統合失調症の本人は、まったく病気だと思っていないところです。
ですから、正論をかざして説得しても全く効果がないどころが、逆に反感を買ってしまいます。
 
その場は、同調しながら早期に病院受診に繋がるよう誘導していただければ幸いです。
 
 
ぽりぽり
「健康診断に行こうか?」と言って、病院に連れてこられたご家族もいました。
 
もちろん、病院側も準備が必要ですので、受診の前には必ず電話などで相談してから受診するようにしてください。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
少しでも参考にしていただければ幸いです。
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