私は普段、勤務医として病院で働きながら、副業として法人(合同会社)を経営しています。
いわゆる「二刀流」の働き方です。
このブログでも、法人設立の手続きについては過去にいくつか記事を書いてきました。

ただ、手続きの話はできても、「そもそもなぜ勤務医が法人を作ろうと思ったのか」「決意してから設立までに何を考え、何につまずいたのか」という”過程”の話は、あまり書けていませんでした。
そこで今回から新シリーズとして、医師が法人を設立するまでの過程を時系列で振り返っていきたいと思います。
きれいな成功談ではなく、迷いや失敗も含めた実録としてお届けします。
第1話は、すべての始まり。勤務医の私が「このままではヤバい」と気づいた日の話です。
勤務医は「安定」だが「最適化」されていない
医師という職業は、収入面では恵まれています。
勤務医であっても、世間一般から見れば十分に高い給与をいただけます。
ただし、勤務医の収入には大きな特徴があります。
それは、ほぼすべてが「給与所得」であるということです。
給与所得は、病院が源泉徴収してくれるので楽な反面、節税の余地がほとんどありません。
- 経費はほぼ認められない(給与所得控除のみ)
- 収入が上がるほど税率が上がる(累進課税)
- 対策といえばふるさと納税やiDeCoくらい
ぶらっく頑張って当直を増やしても、手取りは思ったほど増えない…
多くの勤務医が一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
私もずっと、「そういうものだ」と思って働いてきました。
副業を始めたら、別の問題が生まれた
転機は副業を始めたことでした。
私の場合、産業医業務やこのブログをはじめとした副業を少しずつ育ててきました。


最初のうちは、副業収入は「ちょっとしたお小遣い」程度。確定申告で雑所得として申告すれば済む話でした。
ところが、ありがたいことに副業が成長してくると、状況が一変します。
副業収入は「給与」と合算される
ここが落とし穴でした。
雑所得や事業所得は、給与所得と合算されて税金が計算されます(総合課税)。
つまり、勤務医としての給与ですでに高い税率に達している私の場合、副業で稼いだ分には、最初から最高クラスの税率がかかるのです。



副業の利益の約半分が税金で消えていく…!?
所得税と住民税を合わせると、副業収入の増加分に対して半分近くが税金になる水準に達していました。
「このままではヤバい」と気づいた日
決定打は、納税額の通知を見た瞬間でした。
住民税と所得税をあわせて、四桁万円を超える納税額になっていたのです。



住民税と所得税を併せて四桁万円を超えてしまいました…
もちろん、納税は国民の義務ですし、稼いだ分に応じて納めるのは当然のことです。
ただ、同時にこうも思いました。
「個人のまま副業を続けるのは、仕組みとして最適ではないのでは?」
- 副業の経費管理が個人の家計と混ざって煩雑
- 稼げば稼ぐほど税率が上がる総合課税
- 将来の事業拡大(人を雇う、契約を増やす)にも個人では限界がある
調べれば調べるほど、副業を「法人」として切り出すという選択肢が現実味を帯びてきました。
法人化を考え始めた3つの理由
当時の私が法人化に惹かれた理由を整理すると、次の3つでした。
理由1:税率の構造が変わる
個人の所得税は最大45%(+住民税10%)の累進課税ですが、法人税は利益800万円以下なら実効税率が大きく下がります。
さらに、法人から家族へ役員報酬を支払えば、所得を分散することもできます。
理由2:経費の考え方が変わる
法人であれば、事業に必要な支出を法人の経費として明確に管理できます。
個人の家計と事業のお金が分離されるので、お金の流れが圧倒的にクリアになります。
理由3:「事業」としての信用ができる
産業医契約などの取引において、個人よりも法人のほうが契約や請求の面でスムーズなケースがあります。
副業を「お小遣い稼ぎ」から「事業」へ育てていくなら、法人という器が必要だと感じました。
それでも、すぐには決断できなかった
とはいえ、正直に言うとすぐに決断できたわけではありません。
頭の中には不安が渦巻いていました。
- 勤務医をしながら法人経営なんてできるのか?
- 設立費用や維持コスト(均等割・税理士費用)で赤字にならないか?
- そもそも何から手をつければいいのか分からない



メリットは分かった。でも、失敗したら…と考えると足がすくむ
この不安を一つずつ潰していく過程が、まさに「法人設立までの道のり」でした。
次回以降、この不安とどう向き合い、どう判断していったのかを順番にお話しします。
まとめ
今回はシリーズ第1話として、勤務医の私が法人設立を考え始めたきっかけをお話ししました。
- 勤務医の給与所得は節税の余地がほぼない
- 副業収入は給与と合算され、高い税率で課税される
- 納税額が四桁万円を超え、「このままではヤバい」と気づいた
- 法人化に惹かれた理由は「税率」「経費」「信用」の3つ
- それでも不安だらけで、すぐには決断できなかった
次回・第2話は、「合同会社 or 株式会社?医師のマイクロ法人に最適な形を選ぶまで」です。
私がなぜ株式会社ではなく合同会社を選んだのか、その思考過程をお話しします。


それでは、また次回。


※本記事は私個人の経験と見解に基づくものです。税務の詳細は必ず税理士等の専門家にご確認ください。









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