自分の子供が医師を目指すには

景気の影響に左右されにくく、

安定した収入と確固たる地位として「医師」を職業として目指される、

あるいは、自分のお子さんに医師を目指してほしいと思う人は多いと思います。

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にも記載しましたが、私自身、初めは医学部ではない学部に入学したものの仮面浪人を経て医学部に合格し医師になったのですが、仮面浪人という回り道をしても医師を目指してよかったと心底思います。

まず、医師になって良かったと思う理由から始めて、どうすれば子供に医師を目指してもらえるようになるか(簡単に)を記載したいと思います。

目次

なぜ医師を目指してほしいのか?

一つ目は、「感謝される」職業ということです。

「病気を治療する」ことができるのは唯一「医師」のみに許された権限であり、また、結果として「ありがとう」と心から感謝されることが多いので、モチベーションを高く保ちやすく、苦しいことも多いですが、全体としてやりがいを感じつづけて仕事ができます。

そのような職業は比較的少ないのではないでしょうか?

 

公認会計士の友人に言われた印象的な言葉を時々思いまします。

会計士は収入はある程度あるんだけど、『ありがとう』って心底感謝されることなんてないし、言われることすらめったにないで。医者って心から『ありがとう』って言われるやん。それって、めちゃくちゃレアの職業だし、すごいうらやましい

自分が医師になっていると、感謝されることが当たり前なので麻痺してしまっていますが、患者さんから「ありがとう」と言われる職業に就けていられることは非常にうれしいことなんですよね。

二つ目は、人の生命を救える職業だからです。

医師はその資格から医療技術を駆使して生命を救える治療をすることを許されています。

機械が壊れても、非常につらいことではありますが、替えがきいたり、修理したりすることができます。

しかし、人間は、手足や臓器などを失うと移植などを除いてほとんどの場合は替えが効きませんし、さらには、生命そのものを失うと二度と復活することはできません。

我々医師は、そのような尊い生命を治療でき、時には、絶体絶命の状況から救い出すことができる可能性を持っています。

以前、急性心筋梗塞の40代男性が救急搬送されました。手術室(カテーテル室)に向かう途中で心室細動と呼ばれる致死性不整脈(=1〜2分で死に至る不整脈)が出現し、その後、重篤化しました。40代とまだまだ若く、お子さんもまだ小さかったので、私自身、必ず救いたいという一心で、

「絶対、この人は救わないといけない!この人を救うためにこの仕事をやっている!」

と周りを鼓舞し手術を行い、無事、救命することが出来ました。

退院前に、その患者さんとお話しするときに、

「先生が『絶対私を救うぞ!』って言ってるのが聞こえていました」

と言われ、少し恥ずかしくなったのを覚えています。

そんな経験ができるのも、医師ならではだと思います。

三つ目は、やはり「収入が非常に安定している」点です。

はっきり言って、医師免許を取得すれば、それなりの生活は十分にできます。

細かく見ていきましょう。

研修医時代(医師1〜5年目)

医師免許書を取得してから初期研修医となる1〜2年目までは、額面30万/月前後です。2年目で50万/月くらいになる病院も少なくないと思います。

 

医師になって3年目〜5年目に当たる後期研修医は、選択する科や勤務する病院にも大きく依存しますが、だいたい1,000万円くらいになるところが多いと思います。3年目以降は、他の病院でバイトも可能です。もちろん、公的病院はバイト禁止されていますし、私的病院でも禁止されているところはありますが、寝当直といって一晩病院で寝ているだけで3万前後給与がもらえる病院で小遣い稼ぎすることもできるようになります。初期研修時代はバイトは禁止です。

 

研修終了後6年目以降〜中堅まで

6年目以降はどのような道を選ぶかで大きく収入が異なってきます。

不思議なことに、医師は専門的に何かをストイックに極めようとすればするほど、給与が安くなります

私自身も循環器を極めようと大学院に進学しましたが、大学病院からもらえる給与は一年目は「ゼロ」でした笑 大学病院では、患者さんの治療にもあたりますし、救急車対応ももちろん従事しますが、給与はゼロなんです(大事なことなんで2回言いました)。さらには、大学院で勉強させてもらっているということで、授業料を毎年60万くらい支払ってました。また、国民健康保険には自分で加入しないといけません。

 

では、どうやって収入を得るかですが、大学の医局がバイト先を斡旋してくれます。一週間のうち、半日を2回とか丸一日1回どこかの病院で働いて給与を稼ぐことになります。それでは足りませんので、週1〜2回は夜間の救急を担当する病院へ泊まりにいくことになります。もちろん、さきほど言った寝るだけの「寝当直」もありますが、値段は安いです。全部合わせて、だいたい1,000万円くらいに届くか届かないかと言ったところでしょうか? 大学院は4年ありますので、外でバイトをして生活費を稼ぎつつ、大学に勤務しながら大学院に通い、研究をして卒業を目指すことになります。大学院での生活や研究などについては語り出すとかなり時間を割きますので、今後の題材とさせていただきます。

国立〇〇病院とか国立〇〇センターとか、大学病院並みの大きな国立病院も給与は多くないと思います。

とにかく、臨床(=患者の治療)だけでなく、研究にも携わりたいなどとストイックな道を選べば、自ずと給与は安くなる傾向が強いです笑 しかも超ハードモードな生活になる可能性もあります。

臨床ハードで研究がゼロの病院を選択した場合は、病院にもよりますが、1200〜1500万円くらいは行くと思います。

給与のよい地方の病院(=医師不足)や、もし美容系や開業の道などを選んだ場合、個々人の努力にもよりますが、2,000万は超えてくる人も出てくると思います。

 

6年目以降でどの道を選ぶかで大きく給与が異なってきますので、医師のキャリア形成やライフプランに影響を与える分岐点の一つです。

 

中堅以降〜(あくまでも私個人の考えです)

勤務医フルタイムで、内科は1,500万前後が多いのではないでしょうか?もちろん当直の回数などにも依存しますが。医師によっては、講演会やバイト掛け持ちなどでこれにプラスされるでしょう。

開業医は、また全然変わってきます。車などさまざまなものが経費として計算できるのも強みですよね。流行らないとか、自分が病気したらなどリスクはありますが、それ以上のリターンもあることも確かです。40歳前後になったら開業するという医師も少なくないですし、実際私のまわりにもいます。

 

ベテラン以降〜

私はまだそこまでに到達していませんが、おそらく中堅以降とそこまで大きく年収は変わらないと思います。もちろん、勤務している病院での役職や役割などでプラスされ収入を大きく伸ばすことも可能だと思いますが、それなりの努力と運が必要になってくると思います。

 

高齢になっても

医師免許には定年がありません!ここはかなりでかいです。

働きたければ死ぬまで働けます。しかも、そこそこの給与がもらえます。

老健施設の施設長になれば1,000万は超えると思います。

現在、高齢医師でも働き先を選ばなければたくさんあります。

私も健康であれば、ボケ防止ややりがい維持のためにもなるべく長く働きたいと思っています。

まったく「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」は考えていませんが、FI Only(経済的自立のみ)は狙っています。

子供が医師を志すには?

では、お子さんが医師を志すようになるにはどうしたら良いでしょうか?

長くなっているので、ここでは、要点だけ記載したいと思います。

もっと詳細については時間がある時に記載いたします。

親自身が医師である場合

この場合、誘導は比較的簡単だと思います。

私は男の子供がいるのですが、小さいうちから「医者になる」と言っています。実際、なれるかどうかはわかりませんが。

必ずしも医師になってほしいとは思っていませんが、理系の仕事で手に職をつけてほしいと思っています。具体的にはプログラミングとかですね。

では、私の子供の場合、なぜ小さい時から医師になりたいと言い出しているのか?

一つは、ときどき職場(病院)に連れて行っていたことも影響していると思います。休日に患者さんを回診しにいくとき、一緒に連れて行っていました。もちろん、回診そのものには連れていきませんが、医局という医師の溜まり場に待機させておいて、終わったら手術室など病院ツアーをして帰ってました。もちろん、休日なので、手術はしていませんよ。

二つ目は、どんなに疲れていても、変な時間に呼び出しの電話があっても、愚痴を言わないようにしていました。「お父さん、病気の人を治してくるからね!」と明るく出て行くようにしていました。

上司の中には、愚痴ばかり言ってたからか子供が医師を目指さなかったという人もいたので、愚痴や不平を子供の前では言わないようにしていました。

結果として、私の子供は、うれしいことに医師を目指すようになっていました。まだ、なれてはいませんが💦

親自身が医療者でない場合

この場合は、医師がいかに良い職業であるか、親自身が子供にアピールする必要があると思います。

山Pが出演している救急医療のドラマや米倉涼子さん主演の凄腕外科医のドラマを一緒に見たり、ちょっと大きくなったら、私も影響を受けた「ER」という海外医療ドラマを一緒に観てもいいかも知れません。

とにかく、どんな職業であれ、その職業がいかに面白いかを教えていく必要があると思います。

そして、医師を選択肢と選べるようになるためには、「勉強」が必須です。勉強をするモチベーションにもなります。私も「医師になりたい」という夢が勉強をするモチベーションになりました。

厳しいようですが、親がどんだけお尻を叩いても、医師に興味がない、勉強もしないと難しいと思います。小さい頃から公文などを初めて勉強をルーチン化する、本や図鑑を読んだり読ませたり、さまざまなことを体験させ学習するということの面白さを習得させることが大事かなと個人的には思います。

小学校後半にもなって大きくなってくると、なかなかいうこと聞きませんしね。小さい時からの習慣は非常に大事です。

まとめ

医師は、こまっている患者さんを治療する唯一の資格で、かつ、どの年代においても収入が1,000万以上と安定している職業です。

お子さんに医師を志してもらうには、やはり小さい時からの意識づけが大事です。夢だけで終わらないためにも、教育にも小さい時から力を入れなければなりません。スパルタである必要はありませんが、子供が学問に興味を持つように導いてあげることが大事ですね。

そうしていけば、たとえ医師にならなくても、職業の選択肢が広がります。職業の選択肢が狭いほど大人になって不幸なことはないと思います。

あくまでも私個人の考えですが、参考にしていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

総合内科専門医と循環器専門医資格をもつ精神科医の備忘録です。
①医療のこと(循環器、精神科領域中心)
②子供の受験のこと(小学6年生 浜学園 公文)
③投資のこと(米国中心の投資について)
④時短家電のこと
⑤論文のこと(論文の読み方、書き方など)

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