のどに違和感〜うつ症状から生じる咽喉頭異常感症〜

喉に違和感を感じ、耳鼻科に行って詳しく調べてもらっても異常なし

実は、うつが原因ということがあるんです。  

 

萎田宇津夫さん
喉の違和感がずっとあるんです。 癌じゃないかと思い悩んで耳鼻科に行ったのですが、カメラで見てもらっても異常なしだったんです。
 
ぽりぽり
喉の違和感が、精神的な苦痛の現れのことがあるんですよ。 最近、心配ごととかありましたか?
萎田宇津夫さん
最近、仕事場の人間関係がうまくいかなくて悩んでるんです。
 
ぽりぽり
やはり、精神的な負担を感じているんですね。 病名は「うつ症状から生じる咽喉頭異常感症」と言います。
 
結論から言うと、耳鼻科で問題ないと言われた喉の違和感は、
うつ症状から生じる咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)
の可能性が高いです。
 
 
ぽりぽり
今回は、この「咽喉頭異常感症」について説明しますね
私は精神科勤務医をしていますが、最近、この症状を訴える患者さんがいらっしゃいました。
お話を傾聴し、原因や病名をお伝えすると、「気持ちが楽になった」とおっしゃって帰宅されました。
 
原因や病名がはっきりとするだけで、気持ちが楽になる患者さんもおられます。
では、早速、「咽喉頭異常感症」について説明します。
 
 
この記事がおすすめの人

✔︎ 喉に違和感を感じている人

✔︎ 喉がつっかえる、イガイガする人
✔︎ 気持ちが沈む、晴れないなどのうつ症状がある人
✔︎ こころの病気に興味がある人
  
目次

咽喉頭異常感症とは

咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)とは、簡単に言えば、のど周辺に何らかの違和感、不快感がある状態のことを言います。
違和感、不快感については人によって異なり、「のどに何かがつかえているような感じ」というのが最も多く、ほかにも、「のどの圧迫感」「イガイガする」「ヒリヒリする」といったものがあります。
中には、「癌かもしれない」と不安になられる患者さんもおられます。
 
そのような症状があるときは、まずは、のどの病気の専門家である「耳鼻咽喉科」を受診することになります
 
咽喉頭異常感の原因として考えられる疾患はさまざまです。原因となる疾患を探すことから診察が始まります。
耳鼻科の医師が喉頭ファイバー(内視鏡、カメラ)で喉に異常がないかどうかをチェックして明らかな異常がなければ、うつ症状から生じる咽喉頭異常感症と診断されます
 

咽喉頭異常感症の原因

冒頭でも記載しましたように、上のストレスは咽喉頭異常感症の主な原因の一つと言われています。

 

忙しくて休む暇もない

転居・転勤や親しい人との死別

パワーハラスメント・セクシャルハラスメントなどを受けた

騒音、悪臭など強いストレスを受けた

などで自律神経のバランスが乱れたり交感神経の働きが強まったりすることにより発症すると言われています。

 

それによって喉の筋肉が過剰に収縮して食道に違和感が生じると考えられています。

そのため、不安や疲労、緊張を強く感じたときに強い症状が出ることが多いです。

 

月経や妊娠・出産・閉経期でホルモンバランスが乱れやすい女性のほうが発症しやすく

✅ 心配性な人や生真面目な人

✅ 我慢強い人

✅ 責任感の強い人

✅ ストレスをため込みやすい人

✅ 不安を感じやすい人

が、かかりやすいと報告されています。

 

実は私もこの症状になったときがあった

 
ぽりぽり
実は、私も研修医のときにこの症状が出現したことがあったんです。
 
私が研修医のころでした。
いまの研修医のように労働基準法なんて全く守られていない時代です。
古き良くない時代でした
 
重症の患者さんがいたら、家に帰れず寝泊まりするような過酷な環境でした。
私は最長で3日間寝泊まりしました。
 
私の研修医の同期生なんて、心臓血管外科(鬼畜)の研修の時に2週間家に帰れませんでした
2週間目の朝方、事件は起こりました。
朝6時くらいにICU(集中治療室)の採血検査をしてから、急にお腹が痛くなったようです。
迫り来る便意と闘いながらトイレに入り、パンツを下ろす前に事故が起こったようです。
 
それを知った上級医は、さすがに「帰って休め」と言ったそうです。
翌日には復帰しまた激務へと戻っていきました。
 
そのような過酷な研修医時代でしたので、私もかなりのストレスを感じていました
特に、新生児を扱うNICU (小児集中治療室)は激務すぎました。
700gほどの超未熟児、緊急手術が必要な低出生体重児などなど、絶対救わないといけない赤ちゃんたちの医療は研修医といえど過酷すぎました。
かなりのストレスを感じて、夢にも出てくるようなレベルでうなされていたのを今でも覚えています。
そして、気がつくと、喉に違和感を感じるようになりました。
 
徐々にひどくなり、「魚の小骨がのどに引っかかった感じ」がずっとするようになり、「のどの癌じゃないのかな」とかなり不安になっていました。
耳鼻科志望の研修医の同期生にお願いして、喉頭カメラをしてもらい「異常なし」と言われて、気持ちが落ち着きました。
それ以降、精神的に安心したのか、症状は何もせずに改善していきました。
 
過度のストレスは、精神的な面だけではなく、身体的な異常をきたすことを実感できました。
 

咽喉頭異常感症の症状

「物がつかえる」「締めつけられる」「イガイガする」「何か物があるような感じがする」「物が飲み込みづらい」といった喉に生じた違和感や圧迫感が咽喉頭異常感症の特徴的な症状です。

普段は特に症状がなくても、飲み物や食べ物、唾液を飲むときなどに症状が出ることもあります。

咳や痰、喉の痛み、息苦しさ、吐き気、不安感、胸やけなどの症状として現れることもあります。

 

症状の出方や程度には人によって違いがあります

嫌な思いをしたときや苦手な人に会ったときなど、ストレスを強く感じる特定の状況下で症状が強く出現することもあります。

咽喉頭異常感症の症状

✅ のどに物がつかえる
✅ のどが締めつけられる
✅ のどがイガイガする
✅ のどに何か物があるような感じがする
✅ 物が飲み込みづらい
 

咽喉頭異常感症の治療

 
ぽりぽり
ここでは、耳鼻科で調べて異常がなかった場合の治療法を説明します。

 

基本的には、うつ症状を起こしている原因を突き止め、それから距離を置くことが一番です。

たとえば、仕事が忙しすぎるなら、業務量を減らしてもらったり休みを取ったりすることが大事です。

 

漢方薬がおすすめされる場合もあります。夏厚朴湯や茯苓飲合半夏厚朴湯、柴朴湯などがそれにあたります。

漢方では効果が薄い場合には、抗不安薬などを少量で処方することもあります

また、比較的頻度が高い逆流性食道炎の可能性がある時には、胃薬を処方します

 

しかし、薬よりも一番は、鬱症状の原因となっていることから解放することです。

 
耳鼻科にいって問題ないと言われて、私のように症状が改善する場合も少なくないですが、それでも頑固に症状が残る場合は、一度、精神科や心療内科へ相談することをお勧めします
 

 

もっとも良い治療法は、うつ症状の原因からの解放
頑固に症状が残る場合は、精神科や心療内科を受診する
 

症例紹介

咽喉頭異常感症の症例

年齢:10代

性別:女性

病歴:もともと活発な性格であった。今年4月に高校に入学。
   5月ごろから部活、習い事などでしんどさを感じるようになっていた
   6月上旬ごろから喉に違和感を感じるようになり、改善しないため耳鼻科を受診した。
   耳鼻科で各種検査を行うも、明らかな異常は認めず精神的なことが原因だろうと診断され、漢方を処方し経過を見られていた。
   しかし、症状は改善せず、呼吸が苦しくなるなどの症状が出現し救急病院を受診。そこでも異常なしと言われ帰宅。
   「癌かもしれない。死ぬかもしれない。」と極度の不安を訴えるようになり、当院を受診した。
*実際あった症例をアレンジしています。
 
お話を伺うと、泣きながら話してくれました。
長女で頑張り屋さん
部活、習い事などでかなり忙しい生活
高校になって初めての期末テスト
習い事のテストも近い
学校では学級委員をするなどしている
癌かと思うと不安で仕方ない
と、肉体的にも精神的にも一杯一杯の状態でした。
 
お母さんを交えて、やはり負担が大きすぎるので、どれかやめましょうと説明し、十分納得していただいた上で部活を辞めることとなりました。
 
おそらく薄々負担が大きいと感じていながら、一生懸命やっている姿に「やめなさい」とはいえなかったのだと思います。
 
第三者である精神科医が、状況を把握し原因となっている問題を特定し、距離を置くように助言してあげるだけでお薬なしで症状がよくなることがあります
 
この症例も上記アドバイスにて喉の症状が改善し、もとの元気な状態に回復しました。
 

まとめ

 

☑️ 症状として喉の違和感や異物感を感じる。

☑️ 耳鼻科で各種検査も異常なし。

☑️ 原因として精神的な負担を感じている。

☑️ 治療は、精神的な負担との距離を空けること。

☑️ 改善なければ、精神科や心療内科の受診を。

 

私自身も起こった症状ですので、誰しもが高ストレス状態に陥ると発症する可能性があります。

 

症状が出て様子を見ても改善しなければ、まずは耳鼻科を受診してください。

異常なしと言われても改善なければ、精神科や心療内科を迷わず受診してください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

少しでも参考にしていただければ幸いです。

 
 
 
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この記事を書いた人

総合内科専門医と循環器専門医資格をもつ精神科医の備忘録です。
①医療のこと(循環器、精神科領域中心)
②子供の受験のこと(小学6年生 浜学園 公文)
③投資のこと(米国中心の投資について)
④時短家電のこと
⑤論文のこと(論文の読み方、書き方など)

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