はるか昔から現代まで古今東西問わず、医師という職業はある程度の地位と収入が確保されてきた職業だと思います。
テレビドラマでも山Pが主人公のコードブルー、米倉涼子が凄腕外科医を演じるDoctor-Xなど医師ドラマが人気なように、医師という職業そのものにも憧れる人は少なくないと思います。
私も自分の子供には、「なりたい」という想いが一番大事ですが「医師」は目指してほしい職業の一つです。理由は過去記事にも書きました。
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しかし、AIの躍進や遠隔診療など、将来的に「医師」という職業は安泰なのでしょうか?
考えていきたいと思います。
AIの躍進
2015年にヨーロッパ最大の心臓病学会に参加した際に、有名な医療分野AIのエキスパートが立ち見もでるほどの満員の会場で語っていたことを今でも覚えています。
医学の論文は1日何百何千も発表されます。
人間はいくら優秀でも1日で読める量は限られています。しかし、AIは1日で全てを読むことができ、重要な論文を順位づけることができます。
AIを始めユーザーフレンドリーなデバイスが開発され、患者さんが病院に来ても医師は高速Wifiを貸すだけで正しい診断と治療法を患者自身が見つけるようになるだろう。
とApple創業者のスティーブ・ジョブズ並みのプレゼンテーションで語っていました。

また、このようにも語っていました。
(アメリカは特に病院までの距離が遠いので)2025年以降は、直接病院に来院する患者よりもネットで受診する患者が増えるだろう
日本は開業医などのクリニックがたくさんあり、保険的にも病院へは直接来院することが容易ですが、アメリカはアクセスを考えると日本よりオンライン受診が栄えていくことが容易に予想されます。
これは新型コロナ以前の予想でしたが、新型コロナ以後の現在を折り込むとさらにオンライン診療が加速されそうです。
AIの進歩+オンライン化でますます医療の在り方が変わっていきそうです。
遠隔ロボット治療
オンライン化が促進され光通信でラグがなくスムーズに通信できるようになると、遠隔治療が可能な世の中が見えてきます。
例えば、
凄腕のインドの医師がロボットを遠隔で操作することで、日本の患者を手術する
ということが可能な時代がやってくる可能性があります。
まだ遠隔手術までは至ってないものの、ロボット手術は実現してきています。
このYoutubeは、ダヴィンチという手術ロボットを使って、葡萄の皮を剥ぐ動画です。
手で剥ぐよりはるかに精密です。
ダヴィンチは、低侵襲技術を用いて複雑な手術を可能とするために開発されました。
高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像の下、人間の手の動きを正確に再現する装置です。
術者は鮮明な画像を見ながら、人の手首よりはるかに大きく曲がって回転する手首を備えた器具(鉗子)を使用し、精緻な手術を行うことができます。
がん手術や心臓手術など、数多くの手術がダヴィンチで行われてきています。
また、心臓カテーテル治療もロボットが開発され日本でも実用化されています。
CorPathと呼ばれる手術ロボットです。狭心症などの心臓の病気の手術に使われます
英語の動画ですが、医師はゲームのコントローラーのようなもので手術道具を操作します。
実は私もこのデモ機を操作したことがあります。人ではなくシミュレーションでしたが、ロボットは細かい動きに対応し治療を完結でき、「ここまで来たか…」と5年くらい前に感じたものです。
このロボット技術にネットワークが加わると、日本の患者がインドの凄腕医師に治療されることが可能になったりします。
さらに、日本の深夜に緊急手術が必要になった時に、睡眠不足で疲れ果てた日本の医師ではなく、日本が深夜の時に昼間の米国の医師が手術する…ということが実現します。医師の働き方改革の一助になりそうですね。
*医師の働き方改革についてもブログにしたいとおもいます。
AIや遠隔ロボット手術が普及してくると…
AIが普及すると、画像診断分野がAIに取って代わられるのでは?と推測されています。
すなわち、放射線科、皮膚科、病理ですね。
いずれも見て診断するので「人間の目」より「AIの目」の方が優ってくると容易に予想されます。
AIは先入観がないので、どの臓器も公平に客観的に観察し診断することが可能です。
人間はどうしても主観や先入観、さらには専門性が反映されてしまいます。
例えば、「胃がん治療後のCT画像」ですとコメントがあると、どうしても胃を中心に見てしまいます。そして、他の臓器の病気を見落としてしまう…という可能性はゼロではないです。ただ、放射線科の読影の医師はエキスパートなので満遍なくどの臓器もチェックする訓練をされていますが…。
ただ、AIは疲労も感じませんので永遠に読影が可能です。さらにディープラーニングにより、より精度と速さも高まっていきます。一方で、人間はどれだけ早くても優れていても限界があります。
皮膚科も見た目診断が多いので、将来的には「iPhoneで写真をとってAIに読影」というアプリが開発され、ある程度の病気は病院に行かずとも診断はされそうですね。
問題は、責任の所在ですね。万が一、AIが見落とした時に誰が責任を取るかなど法整備が進んだら、一気にAI化は進みそうです。
遠隔ロボット手術が普及すると、凄腕医師の数がある程度いれば事足りる時代になるかもしれません。選ばれた医師だけが手術を任されるようになるかもしれませんね。
ただ、複雑な手術はまだまだ人の手による手術が必要ですので、いつの時代になるかわかりませんが。
さらなる未来で、「AIロボットによる遠隔ロボット手術」もいつか現実化されるようになるかもしれませんね。もう人間の手は不要…今の医師の立場からしたら寂しいですね。
どの科が最後まで生き残るか
最終的にAIが入りにくいのは、
精神科
だと思います。
精神分野でAIが参入してくるのはしばらく先かなと個人的には思っています。
表情の変化、言葉の抑揚、沈黙の意味、患者背景、家族関係などなど機微が多いからです。
ただ、これもハイパーグロースなテック企業の開発によって早々に凌駕されるかもしれませんね。
このように、AI、ロボット、通信などの著しい進歩により20年先、いや10年先の医療が全く異なっているものになっている可能性があります。
そうやって考えると、
AIやプログラミングに長けた次世代の医師
のみしか生き残れない可能性もありますね。
いずれにせよ、時代に合わせて柔軟に対応し進化できる医師しか生き残っていけない未来がいずれくるとおもいます。それが何年先かわかりませんけど。
結論
では、
果たして今後も「医師」という職業はいい職業なのか?
結論は
「Yes」
です。
未来が不透明でも、やはり「人の命を救うことができる」権利を与えられている医師という職業は非常に魅力的です。
ただ、専門科は慎重に選択する必要は出てくるでしょう。
そして、
医師にとっても厳しい未来の可能性があるのに、私の子供には医師を目指してほしいのか?
ですが、その答えも、
「Yes」
です。
まぁ、強要は決してしませんが、医師を目指せるくらい勉強していることは将来的に職業の選択肢が広がるので。
医師だけではなく、さまざまな職業がAIによりオワコンになるんじゃないかと感じがちですが、人間の欲望は際限ないので、
「人間はAIが入り込むことができない分野を発見し、それをさらに開拓していくことになる」
と思うので、完全に仕事がなくなるとかはないと思います。
ただ、いつの時代も勉強はしないといけないことは間違いなさそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました。